BtoBマーケティングでフリーランスを活用すべき理由と具体例

BtoBマーケティングにおいて、フリーランスの活用が注目を集めています。デジタル化が進む現代、企業は専門スキルを持つ人材を必要としていますが、社内リソースが限られている場合や、マーケターの採用難に苦戦している企業も多いのではないでしょうか。そのような状況に対して、フリーランスの活用が有効な解決策となります。本記事では、フリーランスを活用する理由や具体例、そして成功のためのポイントを詳しく解説します。

1. BtoBマーケティングにおけるフリーランスの活用が注目される背景

1.1 デジタルマーケティングの高度化と専門スキルの需要

デジタルマーケティングは日々進化しており、最新のツールや技術を駆使するためには専門的なスキルと経験が必要です。しかし、多くの企業では専任のマーケティング担当者を育て配置をするリソースがなく、兼務で対応しているケースが少なくありません。このため、戦略が十分に描けず、効果的なマーケティング活動ができていないことが課題となっています。

1.2 働き方の多様化

近年、働き方が多様化し、正社員にこだわらなくても良い時代になっています。ワークライフバランスを重視する動きが広がる中、雇用形態を「正社員」に拘らず、「フリーランス」としての働き方を選ぶ人も年々増えてきました。

これに伴い、企業側も人手不足や採用コストの高騰に対応するため、また、特定のスキルを持つ人材をピンポイントで確保したいというニーズから、フリーランスの活用を積極的に行っています。企業によっては、業務内容、コスト、契約期間、専門性を総合的に考慮すると、正社員を採用するよりもフリーランスに依頼する方が最適である、というケースも増えています。

2. BtoBマーケティングでフリーランスを活用するメリット

2.1 専門スキルを持つ即戦力の確保

フリーランスのマーケターは、特定の分野に特化した専門知識や実務経験を持っており、即戦力として貢献できる点が大きな強みです。例えば、ウェビナー運営、SEO、Web広告運用、SNSマーケティングなど、それぞれの分野に特化した業務を任せることができます。専門知識やスキル、独自のノウハウや経験を持っているため、企業の状況に合わせて柔軟かつ効果的に対応することができるでしょう。

2.2 外注コストの最適化とコストパフォーマンス向上

例えばWeb広告を外注する場合、フリーランスのマーケターを活用すると、広告代理店に依頼する場合の「中間マージン」を削減できます。フリーランスは必要な業務だけを依頼できるため、予算に応じて柔軟に対応できる点も大きな魅力です。

特に、代理店におけるWeb広告運用の場合は、代理店が抱える人件費や事務所運営費といった固定費が上乗せされ、実際の配信料に20~30%の手数料が加算されて請求されます。一方で、フリーランスを活用すれば、この中間マージンを抑えることができ、実際の配信費用のみで広告運用を委託できます。これにより、企業はコストを抑えつつも、高い専門性を持つ人材を確保し、コストパフォーマンスの向上を実現できます。

2.3 柔軟でスピーディーなマーケティング施策の実行

フリーランスのマーケターは、ニーズに迅速に対応できるため、柔軟でスピーディーなマーケティング施策の実行を可能にします。大規模な代理店では、意思決定のプロセスが複雑で、実行するのに時間がかかるケースや、支援内容がパッケージ化されているケースが多いのに対して、フリーランスに委託する場合は直接コミュニケーションを取りながら、施策の意思決定を進めることができます。

例えば、急遽ウェビナーを開催することになった場合、フリーランスであれば個人の都合さえつけば短期間で企画作成、準備や集客施策の実行、開催までをスムーズに進めることが可能です。これにより、企業はスピード感を持って効果的なマーケティング活動を行うことができるでしょう。

2.4 業界トレンド・ノウハウの取得

フリーランスのマーケターを活用することで、企業は最新の業界トレンドやノウハウを迅速に獲得することができます。フリーランスは特定の分野で専門性を持っているため、その知見を社内に持ち込むことで、社員の意識を活性化したり、マーケター人材の教育を進めることができます。

さらに、フリーランスという新しいスタッフを迎え入れることで、独自の視点を持った人材と出会うことができ、凝り固まった社内の考え方を変えてくれる存在にもなりえます。
結果として、フリーランスを活用することは、社員のスキルアップや社内の育成にもつながるでしょう。

3. BtoBマーケティングにおけるフリーランス活用の具体例

3.1 リードジェネレーション

リードジェネレーションは、見込み顧客を創出するための重要な施策であり、以下のようなプル型とプッシュ型のアプローチがあります。フリーランスを活用する場合は、どの領域を得意としているのか、実績があるのかなどを見極めるようにしましょう。

プル型アプローチ:

  • Web広告の出稿
  • 展示会での名刺交換
  • ウェビナーへの集客
  • ホワイトペーパーからのコンバージョン
  • タクシー広告やCMの出稿

プッシュ型アプローチ:

  • SNSでのプッシュアプローチ
  • ビジネス系交流アプリでのマッチング
  • 郵送での便箋アプローチ
  • ダイレクトメール(DM)プッシュ
  • 代表電話への架電アプローチ
  • ABM(アカウントベースドマーケティング)へのアプローチ

施策によって必要なリソースや予算は異なるため、フリーランスに委託した場合の費用対効果をシミュレーションした上で業務を委託しましょう。

3.2 リードナーチャリング

リードナーチャリングとは、集めた見込み顧客の関心を高め、購買意欲を育てるための施策を指します。具体的には、以下のような手法があります。

  • 定期的なメルマガ配信
    • ノウハウ記事の送付
    • ウェビナーの案内送付
    • ステップメール
  • ホワイトペーパーの提供
  • 電話やオンラインミーティングを通じたヒアリング

リードナーチャリングにおいては、MA(マーケティングオートメーション)ツールやCRM(顧客関係管理)ツールを使いこなすことが必須と言っても過言でありません。見込み顧客の関心度をスコアリングし、顧客の関心を整理したり、課題に応じて施策を変更したりという対応が求められます。フリーランスを活用する場合は、自社が導入しているMAやCRMの実務経験があるかなど、チェックしておくとよいでしょう。

3.3 MA・SFA・CRMツールの導入、運用

フリーランスで活躍するBtoBマーケターの多くは、さまざまなマーケティングツールにも精通しています。既に自社で何らかのツールを導入している場合は、そのツールを使いこなせる人材かどうか、運用を任せられるかを確認しておくことをおすすめします。

具体的には、それぞれのツールにおいて以下のような機能を使いこなせるかどうか、確認しましょう。

MA(マーケティング・オートメーション)

目的:マーケティング活動の自動化と効率化を図り、リードの獲得から育成、顧客になるまでのプロセスを最適化すること。

主な機能や施策:

  • メールキャンペーンの自動化
  • リードスコアリングの実施
  • パーソナライズされたコンテンツ配信
  • 顧客行動のトラッキング(サイト訪問状況など)

SFA(セールス・フォース・オートメーション)

目的:営業プロセスの自動化と効率化を図り、営業活動の可視化と管理を強化すること。

主な機能や施策:

  • 営業活動の可視化
  • 見込み客の管理
  • 営業予測の管理
  • MAやCRMツールとの連携

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)

目的:顧客との関係を強化し、顧客満足度とロイヤルティを向上させること。

主な機能や施策:

  • 顧客情報の一元管理
  • コンタクト履歴の記録
  • 商品・サービスの購買履歴 
  • サポートチケット管理

4. フリーランスを上手に活用するためのポイント

4.1 適切な人材選定とスキル評価

フリーランス人材を選定する際には、まず依頼したい業務の内容を明確にすることが重要です。その次に、業務内容に応じてどのようなスキルを持つ人材をアサインすべきかを検討しましょう。

人材選定時は、候補者の過去のプロジェクトや実績を確認し、求めるスキルや経験を満たしているかどうかを確認することが重要です。
BtoBマーケティングにおいては数字で成果を証明できるものも多いため、定量的な実績を出してもらうとより信頼できるでしょう。

4.2 明確な業務範囲の設定

フリーランスを活用する際には、自社の人材と外部のフリーランスとの役割分担を明確にしなければなりません。フリーランスが主体的にプロジェクトを進めていくのか、社員と同等の責任を持って進めていくのかなど、役割と責任の境界をはっきりさせておくことが重要です。これにより、業務の重複や責任の曖昧さを避け、効率的にプロジェクトを推進することができます。

4.3 報酬設定と契約内容のポイント

業務内容やアサインする人材が決定したら、次に報酬、稼働時間、契約期間、など具体的な契約を行います。

例えば契約期間において、一定期間だけ集中的に業務を依頼したいのか、それとも長期的に継続して依頼したいのかによって、契約形態や報酬の考え方が変わります。
短期間での依頼であれば、プロジェクト単位での報酬設定が適していることが多く、「ホワイトペーパー作成」や「オウンドメディアのブログの執筆」など、成果物ベースでの契約が向いています。一方、長期的な依頼の場合は、月額固定報酬や時給制の契約が適しているケースがあります。

また、依頼したい業務に応じて想定工数などを見積もり、事前にすり合わせしておくとよいでしょう。すり合わせを怠ると、必要以上の請求がきたり、期待したほど稼働してもらえない、といった事態を招いてしまうリスクがあります。

契約内容については、業務範囲や納期、稼働時間、定例会議の参加の必要性など、詳細まで明確に記載した上で、双方の認識のズレを防ぐことが大切です。

4.4 円滑なコミュニケーションと継続的な関係構築

フリーランスは多くの場合、社外で業務を行うため、進捗の確認や情報についてより細かな共有が求められます。そのため、フリーランスを採用する際には、コミュニケーションがスムーズに取れるかどうかが非常に重要な要素となります。

面談時には、条件や要望が一致しているかを確認するだけでなく、相手の人柄やコミュニケーションスタイルも見極め、企業の文化やチームにフィットするかを判断することが大切です。
コミュニケーション手段としては、slack(https://slack.com/intl/ja-jp/)やチャットワーク(https://go.chatwork.com/ja/)、Gather(https://ja.gather.town/)など、リモートワークの環境下で会話・報告がしやすい環境作りをする必要があります。

5. フリーランス活用時の注意点

5.1 フリーランス新法を必ずチェック

近年、「闇バイト」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。法律や規則を無視した非合法な仕事を指し、フリーランス新法とは対極にある考え方のことです。

フリーランス新法は、こうした不透明な労働環境を改善し、フリーランスが安全かつ公平な条件で働けるようにするための重要な法律のため、フリーランスに業務委託する際は必ずチェックしましょう。

  • フリーランス新法とは?

フリーランス新法とは、フリーランスとして働く個人を保護し、取引の適正化を目的とした法律です。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、2024年に成立しました。この法律により、企業がフリーランスと契約する際に、報酬支払いの明確化することや、ハラスメント防止措置が義務化され、不公正な取引の防止を目的としています。

  • 発注者側が注意すべきこと

【契約内容の明確化】

フリーランスに業務を依頼する際は、契約書を作成し、業務内容、報酬、支払い条件、契約期間などを明示することが重要です。これにより、誤解やトラブルを未然に防ぐことができます。

【報酬の適正な支払い】

契約で定めた期日までに報酬を支払うことを徹底し、遅延が発生しないように管理する必要があります。遅延が発生した場合には、遅延利息が発生する可能性もあるため注意が必要です。

【合理的な契約解除】

契約を解除する際には、合理的な理由が必要です。契約解除によってフリーランスに損害が発生した場合には、適正な補償を行わなければなりません。

【情報管理と秘密保持】

フリーランスが業務を通じて知り得た情報については、秘密保持契約(NDA)を締結し、情報漏えいを防ぐための適切な対策を講じることが求められます。

引用:フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ(厚生労働省)

6. 人材アサインに必要な事前準備

6.1 自社の課題やニーズを分析

あらかじめ自社の課題を分析しておくことで、今、どのようなスキルや経験が必要かが明確になり、自社にあった人材を選定しやすくなります。この準備を怠ると、ミスマッチが発生し、進めたい施策が思った通りに進まないリスクが高まります。

6.2 必要な人材の要件を定義

課題やニーズを分析した後に、具体的にどの施策や業務を行ってもらうかを考えることで、最適なスキルセットや経験を持つ人材を特定しやすくなります。要件定義の際は、その人に求める成果や役割を明確にすると、アサイン後スムーズに業務に取り組めるでしょう。

7. フリーランス人材や業務委託先の探し方

  • BPOサービスを提供する企業へ依頼

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスは、特定の業務プロセスを外部の専門企業に委託する方法です。1つ1つの業務だけではなく、その全体のプロセスを改善、課題解決をしてもらうことができます。

  • アウトソーシングを提供する企業へ依頼

特定の業務やプロジェクトを外部に委託するためのサービスです。アウトソーシングは、IT、マーケティング、カスタマーサポートなど、多岐にわたる分野で利用され、一部の業務や人手不足の解消の手段として利用されることが多くあります。

また、アウトソーシングとBPOは類似したサービスと思われることも多いため、その違いを理解しておきましょう。

アウトソーシングは特定の単一業務を切り出して、外部に委託することを指します。 一方、BPOは、企業の業務プロセスを一括で外部に委託するため、アウトソーシングと比較して対象の業務範囲が広くなります。 

  • フリーランス人材マッチングサイトの活用

企業とフリーランスをつなぐマッチングサイトの活用も手段の一つです。これらのサイトでは、過去の実績や得意な領域から検索してフリーランスを探すことができます。多くの場合、レビューや評価を確認できるため、信頼性の高い人材を選ぶことが可能です。

長期的なプロジェクトよりも、いますぐに対応してもらいたい、迅速に人材を見つけたい場合に非常に便利です。

  • 人材エージェントの活用

人材エージェントは、企業のニーズに応じた人材を紹介するサービスを提供しています。必要な人材要件を詳しくエージェントがヒアリングをし、最適な候補者を選定してくれます。特に専門性の高いスキルが必要な場合や、より高度な技術が必要であったり、長期的な人材戦略を考慮する場合に有効です。ただし、紹介手数料が高い場合や、希望の人材が見つかるまでに時間がかかるケースも少なくないため、注意が必要です。

  • スキルシェアサービスの活用

スキルシェアサービスは、特定のスキルを持つ個人と企業をつなぐプラットフォームです。これにより、短期間で特定のタスクを完了するための人材を見つけることができます。特定の問題解決や一時的な業務依頼に最適で、長期では雇用が難しいと考えている柔軟な働き方を求める企業にとって有益です。

8. まとめ

フリーランスの活用は、BtoBマーケティングにおいて即戦力の確保・コスト効率を高める効果的な手段です。適切な人材選定や業務範囲の明確化、配置を通じて、効率的に成果を上げることができます。

マーケティングコミットでは、プロジェクト内容に応じたプロ人材をアサインし、チームで貴社のご支援を行います。BtoBマーケティング、インサイドセールス、カンファレンスなどのイベント運営など、リソース不足でお困りの場合はぜひマーケティングコミットにお任せください。

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この記事の著者

吉田 博騎

吉田 博騎 代表取締役

大学在学中にバックパッカー(訪問カ国数55カ国)を経て、2020年にBtoBマーケティングコンサル&BPOの会社に入社。その後、コンサルティング担当&実行担当、年間70社以上を支援経験。また、入社1年目で新人歴代最高売上を達成し新人賞受賞、入社2年目で第3クオーターMVP・第4クオーターMVP ・年間MVP受賞/最速課長昇格など、数々の賞を受賞。その後、2023年に株式会社マーケティングコミットを設立。