
「オンデマンド配信」とは?ライブ配信との違いやBtoB企業の活用メリットを解説
「オンデマンド配信」をご存じでしょうか。BtoB企業のマーケティング担当者にとって、ウェビナーやオンラインイベントで活用を検討する重要な手法です。
オンデマンド配信は、視聴者が「観たい時に、観たいものを選んで視聴できる」柔軟な配信形式。本記事ではその基本からライブ配信との違い、BtoBマーケティングでの具体的なメリット、導入方法、そして成功のポイントを徹底解説します。
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1.オンデマンド配信とは?
オンデマンド配信とは、事前に制作した動画コンテンツを、視聴者が好きなタイミングで見られる配信形式のことです。具体的には、動画ファイルをサーバーにアップロードし、視聴者がインターネットを通じていつでも再生できるようにする方式を指します。
視聴者は時間や場所に縛られることなく、自身の都合に合わせてコンテンツを視聴できるのが最大の特長です。
2.ライブ配信との違い
オンデマンド配信とライブ配信は、動画コンテンツを届けるという点では共通していますが、その特性には大きな違いがあります。
比較項目 | オンデマンド配信 | ライブ配信 |
---|---|---|
リアルタイム性 | なし(事前収録) | あり(リアルタイム配信) |
双方向性 | なし(一方通行) | あり(リアルタイムでの質疑応答など) |
コンテンツの質 | 高めやすい(撮り直しや編集で調整) | 配信時のパフォーマンスに依存 |
視聴の自由度 | 視聴者が好きな時に視聴可能 | 決められた時間に視聴が必要 |
サーバー負荷 | 分散しやすい | 特定の時間に集中しやすい |
擬似ライブ配信との違い
近年BtoBウェビナーで注目されているのが「擬似ライブ配信」です。これは、事前に収録した動画コンテンツを、あたかもライブ配信であるかのように、決められた日時に合わせて配信する形式です。
コンテンツ自体はオンデマンドですが、チャットでの質疑応答などをリアルタイムで行うことで、ライブ感と双方向性を両立させることができます。
比較項目 | ライブ配信 | 擬似ライブ配信 |
---|---|---|
コンテンツ | リアルタイムで撮影・配信 | 事前収録された動画 |
配信タイミング | リアルタイム | 決められた日時に合わせて配信 |
双方向性 | リアルタイムでの質疑応答など | リアルタイムでのチャットなどでの交流が可能 |
臨場感 | 高い | 高い(リアルタイムでのやり取りがあるため) |
準備の手間 | 比較的低い(一発勝負のため) | 比較的高い(事前収録・編集が必要) |
3.オンデマンド配信のメリット
オンデマンド配信は、企業側と視聴者側の双方にメリットがあります。
企業側のメリット
企業のメリット | 詳細 |
---|---|
コンテンツの品質向上 | 事前に収録を行うため、不要な部分をカットしたり、テロップや図表を追加したりするなど、編集によってコンテンツの質を最大限に高めることができる |
コンテンツを資産として活用 | 一度作成した動画は、営業ツールやマーケティングコンテンツとして繰り返し利用できる「資産」となる |
炎上リスクの低減 | ライブ配信とは異なり、公開前に内容を十分に確認できるため、誤情報の拡散や不適切な発言による炎上リスクを抑えられる |
コスト削減と効率化 | 営業担当者が顧客ごとに説明する手間を省いたり、会場費や移動費を削減したりするなど、様々な業務の効率化とコスト削減が期待できる |
視聴者側のメリット
視聴者のメリット | 詳細 |
---|---|
時間や場所を選ばずに視聴可能 | 視聴者は自分の都合の良い時間に、自宅やオフィス、移動中など、好きな場所でコンテンツを視聴可能 |
繰り返し視聴で理解度向上 | 内容を十分に理解するために、好きなだけ動画を巻き戻したり、一時停止したり、繰り返し視聴したりすることができる |
自分のペースで学習できる | 視聴速度を調整できるため、自分の理解度に合わせて視聴ができる |
必要な情報にフォーカスできる | コンテンツが細分化されている場合、視聴者は必要な情報だけを選んで効率的に学習できる |
4.オンデマンド配信のデメリット
オンデマンド配信には多くのメリットがある一方で、考慮すべき弱点や注意点も存在します。
・臨場感や双方向のやりとりがない
ライブ配信のようなその場での一体感や、リアルタイムでの質疑応答による双方向のコミュニケーションは期待できない
・視聴を先延ばしにされがち
いつでも見られるという特性から、かえって視聴が後回しにされたり、忘れられたりする可能性がある
・準備に時間と労力がかかる
高品質な動画コンテンツを作成する場合は、企画、撮影、編集といった工程に時間と専門的なスキルが必要
・視聴者のモチベーション維持が難しい
リアルタイムな交流がないため、視聴者の集中力が途切れやすく、最後まで視聴してもらうための工夫が必要になる
・プラットフォームの制約
YouTubeなどの無料プラットフォームを利用する場合、独自の運営ポリシーに違反すると動画が削除されるリスクや、動画の前後に広告が挿入され、視聴体験を損なう可能性がある
5.オンデマンド配信の活用例
オンデマンド配信は、BtoB企業においてマーケティング活動から社内研修、カスタマーサクセスまで、様々な用途で幅広く活用されています。
1)営業・マーケティング活動での活用
BtoBマーケティングにおいて、オンデマンド配信はリード獲得やナーチャリングにおいて非常に有効な手段となります。
ウェビナーのアーカイブ配信
ライブウェビナーに参加できなかった見込み顧客に対して、アーカイブ動画をオンデマンドで公開することで、取りこぼしのリードを拾うことができる
長期的なリード獲得の継続
過去に開催したウェビナーやオンラインカンファレンスの録画をウェブサイトに常設することで、継続的に新しいリードを獲得する仕組みを構築
製品・サービス紹介動画
製品デモやサービス概要を説明する動画をオンデマンドで公開することで、営業担当者が個別に説明する手間を省き、顧客理解を深めることが可能
コンテンツマーケティング
専門知識や業界トレンドに関する動画コンテンツを定期的に配信することで、企業の専門性をアピールし、潜在顧客との接点を創出できる
2)社内研修・教育コンテンツとしての活用
社員のスキルアップや情報共有の効率化にもオンデマンド配信は活用しやすいです。
- 社員研修のオンデマンド化:新入社員研修やコンプライアンス研修など、繰り返し実施する研修を動画コンテンツとして提供することで、好きな時間に好きな場所で学習できる
- ナレッジ共有:業務マニュアルや社内規定、成功事例などを動画で共有することで、文字情報だけでは伝わりにくいニュアンスを伝え、社員の理解を深めることができる
3)カスタマーサクセスでの活用
カスタマーサクセスにおいても、オンデマンド動画の活用で成果に繋げられます。自社の顧客が製品やサービスをスムーズに導入するために特に重要になります。
- オンボーディング動画:新規顧客向けの製品設定方法や初期利用ガイドを動画で提供することで、顧客のサービス利用を効率的にサポートできる
- FAQ動画:よくある質問に対する回答を動画で提供することで、顧客の自己解決を促し、サポートコストの削減と顧客満足度向上に繋げられる
- 活用事例紹介動画:既存顧客が製品やサービスをより効果的に活用できるよう、具体的な事例や応用方法を動画で紹介することで、顧客満足度を高められる
6.オンデマンド配信の始め方・実施方法
オンデマンド配信を成功させるためには、事前の準備から配信後の分析まで、ステップを踏むことが重要です。
6.1.事前準備:目的設計と動画の整備
オンデマンド配信を成功させるには、事前準備が重要です。目的設計、動画素材の準備、高品質な編集の3つのステップを丁寧に進めましょう。
準備ステップ | ポイント |
---|---|
目的設計 | 配信を通じて達成したいビジネス目標(リード獲得、ブランド認知向上、顧客エンゲージメント強化など)を具体的に設定。 |
動画素材の準備 | 目的達成のためにどのような動画が必要かを検討し、撮影機材(カメラ、マイク、照明など)や撮影場所を準備します。既存の資料やデータを活用することも有効です。 |
編集のポイント | 不要な部分のカット:冗長な部分や視聴者の集中を妨げる箇所は思い切ってカットし、テンポの良い動画に仕上げるテロップや図表の追加:重要なキーワードや数字、複雑な概念などはテロップや図表で視覚的に補足するBGMや効果音の活用:適切なBGMや効果音をつけ、動画を飽きさせずに、視聴者の興味を引きつける |
6.2.動画配信プラットフォームの選定と準備
自社サイト埋め込み
既存のウェブサイトに動画を埋め込む方法です。デザインの自由度が高く、自社ブランドを前面に出せますが、動画のホスティングやストリーミングには別途サービスが必要になる場合があります。
YouTube・Vimeoの利用
無料または低コストで手軽に始められるのが魅力です。YouTubeは圧倒的な集客力がありますが、広告表示や競合動画への誘導リスクがあります。Vimeoは広告がなく、高品質な動画を共有したい場合に適しています。
また、多くの企業で利用されているZoomも、有料プランであればウェビナー機能や録画機能を使ってオンデマンド配信に対応できます。リード管理やナーチャリングを効率的に行いたい企業に特に適しています。
関連記事:【保存版】Zoomウェビナーの使い方完全マニュアル!初期設定から開催までを解説
専用のイベント配信プラットフォーム
ウェビナーやオンラインイベントに特化したプラットフォームで、視聴ログ分析機能やマーケティングオートメーション(MA)ツールとの連携機能など、BtoBマーケティングに役立つ機能が充実しているのが特徴です。
プラットフォーム選択のポイント
最適なオンデマンド配信プラットフォームを選ぶことは、その後の運用効率やマーケティング成果に大きく影響します。自社の目的や運用体制に合っているか、以下のポイントを参考に比較検討しましょう。
ポイント | 詳細 |
---|---|
コスト | 初期費用、月額費用、従量課金など、貴社の予算に合ったプラットフォームを選びましょう。 |
セキュリティ | 機密性の高い情報を扱う場合は、視聴制限機能やDRM(デジタル著作権管理)などのセキュリティ機能が充実しているか確認しましょう。 |
視聴ログ分析 | 誰が、いつ、どこまで視聴したかなど、詳細な視聴データを分析できる機能はコンテンツ改善に不可欠です。 |
マーケティング連携の可否 | MAツールやCRM(顧客関係管理)ツールとの連携が可能かどうかも、リードナーチャリングを効率的に進める上で重要なポイントです。 |
さらに詳しく様々なウェビナーツールを比較検討したい方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
関連記事:【2025年最新版】ウェビナーツール徹底比較!おすすめ9選をご紹介
6.3.配信ページの設計と公開準備
動画を公開する配信ページの設計は、視聴数とコンバージョン数に直結する重要な要素です。
配信ページの設計ポイント
動画を公開する配信ページは、単に動画を置いておくだけでは効果が半減してしまいます。視聴数・コンバージョン数を増加させるためには、設計の工夫が必要不可欠です。
ポイント | 詳細 | 期待効果 |
---|---|---|
魅力的なサムネイル | 動画の内容が一目でわかり、クリックしたくなるような目を引くサムネイルを設定しましょう。 | 視聴数の増加(クリック率向上) |
分かりやすい説明文 | 動画の概要、視聴することで得られるメリット、ターゲット視聴者などを簡潔に記載します。 | 視聴数の増加(視聴意欲向上)およびミスマッチの低減 |
明確なCTAボタン | オンデマンド動画への誘導(例:動画を再生する、無料視聴はこちら)や、動画視聴後に次のアクション(例:資料ダウンロード、お問い合わせ)を促すボタンを分かりやすく配置しましょう。 | コンバージョン数の増加(具体的な行動喚起) |
アンケートの設置 | 視聴後の感想や質問を収集するためのアンケートを設置し、顧客のニーズ把握やコンテンツ改善に役立てます。 | 顧客ニーズの把握、次なる施策へのヒント |
関連資料のダウンロード | 動画内容を補足するPDFなどの資料をダウンロードできるようにしましょう。 | コンバージョン率向上、リードナーチャリング促進 |
集客のための告知施策
せっかく質の高い動画コンテンツを作成しても、多くの人に見てもらえなければ意味がありません。動画公開後も積極的に告知を行い、視聴者を集めましょう。
施策 | 詳細 |
---|---|
SNS活用 | Twitter、Facebook、LinkedInなどのSNSで配信ページを告知し、ハッシュタグなどを活用して拡散を促しましょう。 |
メールマガジン配信 | 既存の顧客リストや見込み顧客に対し、メールマガジンで動画公開を案内し、配信ページへのアクセスを集めます。 |
ウェブ広告 | ターゲット層にリーチするために、リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告などを活用し、動画コンテンツへ誘導します。 |
プレスリリース | 新しい動画コンテンツの公開をプレスリリースとして配信し、メディアへの露出を図ることも有効です。 |
6.4.配信後のPDCA:視聴分析と改善施策
動画を公開したら終わりではありません。成果を最大化するためには、公開後の視聴データを徹底的に分析し、次なる配信やマーケティング施策に活かす「PDCAサイクル」を回すことが極めて重要です。
このサイクルを回すことで、コンテンツの質を高め、継続的なリード獲得とナーチャリングへと繋げられます。
視聴データの分析項目
オンデマンド配信の成果を評価し、改善点を見つけるためには、以下のデータを分析しましょう。
- 再生回数:どれだけの人が動画を再生したか
- 視聴完了率:動画を最後まで視聴した人の割合
- 視聴時間:平均視聴時間や、特定のセクションでの視聴時間
- アンケート回答率:アンケートへの回答があった割合
- CTAクリック率:設置したCTAボタンがクリックされた割合
- 流入経路:どこから視聴者が配信ページにアクセスしたか
改善施策のポイント
分析したデータに基づいて、より効果的なオンデマンド配信を行うために、以下の点を改善していきましょう。
改善ポイント | 詳細 |
---|---|
動画の長さや内容の見直し | 視聴完了率が低い場合は、動画が長すぎないか、内容が視聴者のニーズに合致しているか、飽きさせない構成になっているかを見直します。 |
CTAの改善 | クリック率が低い場合は、CTAの文言、設置場所、デザイン、色などを調整し、より効果的な行動喚起ができるように改善します。 |
サムネイル・説明文の改善 | ターゲットが「この動画は自分にとって有益だ」と感じ、クリックしたくなるようなキャッチーなコピー、視覚的に惹きつけられるデザイン、そして動画の内容が端的に伝わる工夫が重要です。 |
告知施策の最適化 | 流入経路の分析結果に基づき、特に効果の高かった集客チャネルに注力し、告知の訴求などを最適化します。 |
視聴者セグメントへの対応 | 視聴ログから特定セグメントの関心度や行動傾向が見えてきた場合、そのセグメントに特化した追加コンテンツの制作や、パーソナライズされた情報提供を検討しましょう。 |
動画公開後のフォロー強化 | 動画を視聴したリードの行動データ(視聴完了率、CTAクリックなど)を分析し、適切なタイミングでメールや営業担当からの連絡を行うなど、視聴後のナーチャリング施策を強化することで、商談への移行率を高めます。 |
7.オンデマンド配信を成功させる3つのポイント
すでに紹介したポイントを実践することで、オンデマンド配信は十分に成果を出せるでしょう。
しかし、マーケティング担当者として成果を最大化するには、さらに一歩踏み込んだ工夫が不可欠です。そこで、プラスアルファのポイントを解説します。
自社に合った配信ツールを選ぶ
オンデマンド配信の基盤となる配信ツール選びは非常に重要です。
目的や予算、必要な機能(視聴ログ分析、MAツール連携、セキュリティなど)を考慮し、自社に最適なプラットフォームを選びましょう。
特に、MA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携は、視聴ログを顧客データと紐付け、リードナーチャリングを自動化・効率化するために不可欠です。
定期的な告知の実施
「いつでも見られる」というオンデマンドの特性は、視聴者にとって利便性が高い一方で、「後で」と視聴が後回しにされやすいという側面も持ちます。
動画を公開したら終わりではなく、視聴を促すための定期的なメール配信などを活用し「この動画を見るべき理由」や「得られるメリット」を提示するなど、視聴への意欲を高めるフォローが重要です。
営業へのスムーズな連携
「いつでも見られる」というオンデマンド配信の利便性は、視聴者にとっては魅力的ですが、ウェビナーのようなリアルタイム性がないため、企業側は「いつ、誰が視聴したか」が分かりにくいという課題もあります。
たとえば、MAツールでワークフローを組み「動画が視聴されたら営業担当へ即座に通知が飛ぶ」ような仕組みを構築しましょう。
視聴タイミングを明確にできれば、見込み顧客の関心が高まっているタイミングを逃さず、迅速な架電や個別のアプローチができるようになります。架電までのスピードが、商談化率を大きく左右します。
8.まとめ:オンデマンド配信でマーケティング成果を上げるには
オンデマンド配信は、時間や場所に縛られずに情報を提供できるため、BtoB企業のマーケティングにおいて相性が良い施策です。リード獲得から顧客エンゲージメントの向上だけでなく、社内教育の効率化まで、その活用範囲は多岐にわたります。
しかし、その効果を最大限に引き出すためには、明確な目的設定、高品質なコンテンツ制作、適切なプラットフォーム選定、そして配信後の分析と改善が不可欠です。
本記事でご紹介した各ポイントを実践し、コンバージョンと商談の獲得につなげましょう。
BtoBマーケティングにおけるイベント施策で、もし下記のようなお困りごとがありましたら、ぜひ弊社のウェビナー・カンファレンス代行支援サービスをご検討ください。
- ウェビナーを定期的に開催したいが、社内リソースが足りない
- ウェビナーを実施したいが、何から始めていいか分からず、一歩が踏み出せない
- 現状のウェビナー施策を、さらに効率的かつ効果的に加速させたい

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