インサイドセールスをゼロから立ち上げる方法〜基本の7ステップ〜

インサイドセールスをゼロから立ち上げる方法〜基本の7ステップ〜

インサイドセールスは、営業活動の効率化や成果の最大化を図る上で有効な手法として注目されています。しかし、「何から始めれば良いのか分からない」「立ち上げノウハウがない」と悩むケースも少なくありません。

本記事では、インサイドセールスをゼロから立ち上げるために必要な、基本の7ステップを丁寧に解説します。組織設計やKPI設定、ツール導入、人材育成まで実践的な内容をご紹介しますのでぜひ最後までご覧ください。

インサイドセールス代行支援

1. インサイドセールスの基礎知識

インサイドセールスとは、現代の営業活動において重要性が増している営業手法の一つです。ここでは、インサイドセールスとは何か、従来の営業手法との違い、そしてインサイドセールスの役割について解説します。

1.1 インサイドセールスとは?

・インサイドセールスの定義と役割

インサイドセールスとは、訪問ではなく電話やメール、オンライン会議ツールなどを活用して非対面で営業活動を行う手法を指します。従来のフィールドセールス(外勤営業)が顧客を訪問して商談を進めるのに対し、インサイドセールスは社内から顧客と接点を持つため、内勤営業とも呼ばれています。

営業のプロセスを分業することで最適化・効率化が見込めるため、多くの企業で導入が進んでいます。マーケティングとセールスの中間に位置する役割を担い、見込み顧客の育成や商談化が主なミッションです。

・インサイドセールス導入のメリット

①営業活動の効率化

企業訪問が不要になるため、移動時間がなくなることでより多くの顧客にアプローチできます。

②商談数の増加

商談化までの業務に特化することで効率的に見込み顧客へのアプローチができ、商談数の増加が見込めます。

③分析・改善のしやすさ

amptalk(アンプトーク)MiiTel(ミーテル)などの通話内容解析ツールを使えば、定量的なデータとして残ります。架電数だけではなくコール内容の文字起こしやスコアリング(採点)を行うことで、活動内容を客観的に分析し、改善策を立てやすくなります。

④ナーチャリングを通じた受注率の向上

見込み顧客との継続的なコミュニケーション(ナーチャリング)を通じて、顧客の購買意欲を高め、受注に繋がりやすくなります。

1.2 テレアポとの違い

インサイドセールスは、単なるアポイント取得を目的とするテレアポとは異なります。

インサイドセールスは、顧客とコミュニケーションを継続的に取りながら、課題を深く理解し、ニーズ喚起やリード育成を行う「戦略的な営業活動」です。単なる「アポイント取得」だけではなく、顧客との信頼関係構築を通じて商談を創出します。

 1.3 BDRとは

BDR(Business Development Representative)とは、アウトバウンド(企業側からの能動的なアプローチ)で新規のターゲット企業に対してアプローチする役割を担います。

主にABM(アカウントベースドマーケティング。特定の優良顧客を狙って集中的にアプローチする戦略)に基づいてターゲティングされた企業に対し、架電・メールを通じて接点をつくり、商談の機会を創出します。まだ自社の商品やサービスを認識していない潜在顧客に働きかけ、商談獲得をすることがミッションです。

 1.4 SDRとは

SDR(Sales Development Representative)とは、マーケティングによって獲得されたインバウンドリード(見込み顧客)に対してアプローチを行う役割です。

資料請求やセミナー参加など、何らかのアクションを取った見込み顧客に対してヒアリングをしながら課題を見つけ、フィールドセールスへ商談として引き継ぐ役目を持っています。少なからず、顧客が自社のサービスを知っていたり、興味を持っている状態でアポイント取得をするため、商談へスムーズに繋げることができます。

2. インサイドセールス立ち上げ前に押さえるポイント

インサイドセールスを成功させるためには、闇雲に始めるのではなく、明確な目的意識を持って立ち上げを進める必要があります。特に、インサイドセールスが担う役割を明確にしたり、マーケティング・セールス部門との連携体制を事前に構築してコミュニケーションを取っておくことは、後々の運用において非常に重要です。

2-1. 目的と役割を明確にする

サービス・商品によって、インサイドセールスが担う役割は「商談をパスすること」から「クロージング」まで、様々です。導入目的が「商談数を増やすため」なのか、「受注率を上げるため」なのかによって、設計する体制やKPIも大きく変わってきます。

また、SDRなのかBDRなのか、あるいは両方を兼ねるのかといった役割の定義も重要です。目的と役割の曖昧にして立ち上げてしまうと、うまく意思疎通が取れなかったり責任の所在が有耶無耶になってしまったりと、後々現場が混乱して運用課題につながるため、最初にしっかりと設計しておくようにしましょう。

2-2. マーケティング、セールスとの連携体制構築

インサイドセールスは単独で機能する組織ではなく、マーケティング・セールスと密接に連携して初めて成果を上げる役割です。そのため、組織横断して情報共有を行ったり、連携プロセスを事前に設計しておく必要があります。

例えば、リードスコアリングの基準(どんな条件のリードであればアプローチすべきか)や、商談を引き渡す際の必要な情報項目などを事前に合意しておくことで、円滑な運用が可能になります。

例えば、商談を引き渡す際の必要な情報項目は以下です。

  • 予算(Budget)
  • 決裁フロー(Authority)
  • ニーズ(Needs)
  • 導入予定時期(Timeframe)
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3. 7つの立ち上げステップ

インサイドセールスをゼロから立ち上げるための具体的な7つのステップについて解説します。これらのステップを参考にしながら、成果の出るインサイドセールスを社内で構築してみてください。

 3.1 組織体制の設計

インサイドセールス組織を立ち上げる際、大きく分けて「インハウス(内製)」と「アウトソース(外注)」の2つの方法があります。

・ インハウス(内製)

社内でインサイドセールス組織を立ち上げる方法です。自社のリソースを使って立ち上げを行えば、事業や商品への理解度が高いため、顧客からのフィードバックを直接受け取り、改善に繋げるスピードも速いというメリットがあります。また、社内にノウハウが蓄積されるため、長期的な目線では、組織力の向上が見込めます。

一方で、自社にインサイドセールスのノウハウがない場合は、立ち上げまでの時間や人材育成の工数がかかる点が課題になります。

・アウトソース(外注)

インサイドセールス専門の代行業者に業務を委託する方法です。短期間での立ち上げが可能で、経験豊富な人材による成果が期待できます。自社にインサイドセールスに関するノウハウがない場合やリソースが限られている、早期に成果を出さなければならない場合などに有効な手段です。


3.2 KPI設定

インサイドセールスの活動が成果に繋がっているかを測るためには、適切なKPIの設定が不可欠です。BDRとSDRでは、その性質上、設定すべきKPIが異なります。

・ BDRのKPI設定

架電件数、アプローチ数、商談化率、1商談あたりのコストなどが主な指標になります。アプローチするターゲットのハードルが高いため、量よりも質を重視したKPI設計が求められます。

・ SDRのKPI設定

リード対応件数、初回接触率、商談化率、などがポイントです。マーケティング部門から得られたリードへの対応の質やスピードが成果に直結します。
 

3.3 ターゲット選定

効果的なインサイドセールス活動のためには、アプローチすべきターゲットを明確にすることが重要です。

BDRのターゲット選定(ABMの活用

ABM(アカウントベースドマーケティング)の手法を活用し、アプローチすべき企業をアカウントベース(企業単位)で選定します。さらに、その企業内でどの部署のどの役職レベルの担当者にアプローチすべきかを明確にすることで、ピンポイントでの効率的なアプローチができます。

・SDRのターゲット選定

マーケティング施策によって獲得されたリードから、優先度を決めるためのスコアリングや、氏名、企業名、部署名などの属性情報によって整理をし、アプローチ先を決定します。これにより、確度の高いリードから優先的にアプローチできます。 

3.4 オペレーション、運用フローの構築

インサイドセールスがスムーズに機能するためには、明確なオペレーションと運用フローが必要です。見込み顧客の状況や商談の進み具合をきちんと把握し、それぞれに適した対応が取れるような仕組みを整えることが重要です。

・リード管理から商談化までの流れを設計

リードの発生から、初回接触、ヒアリング、商談の見極め、そしてフィールドセールスへの商談引き渡しを行う、という一連のプロセスを詳細に設計します。各ステップで、インサイドセールスはどのような対応を行うのか、ヒアリングすべき項目はどれか?などを明確にすることが重要です。

商談作成ルールを決める

どのような条件を満たしたら「商談」としてカウントし、フィールドセールスに引き渡すのか、営業部門と認識を合わせて具体的なルールを定めましょう。これにより、スムーズな連携が実現します。また、その際に、営業部門にどのような情報を共有すれば良いかも確認しておくと良いでしょう。

・モニタリング、レポーティング環境構築

インサイドセールスの活動量(架電数、メール送信数など)や商談化率、受注率などを可視化するためのダッシュボードや定期的な報告タイミングなどを設定しましょう。これらのコミュニケーションによって、インサイドセールスが獲得したアポの量や質の調整など、課題を発見・改善することができます。

3.5 必要ツールの選定、導入

インサイドセールスの効率を高めるためには、適切なITツールの導入が不可欠です。

・MA

MA(Marketing Automation)ツールは、リードのWebサイト上での行動履歴やメールの開封状況などを可視化できます。これにより、購買意欲の高いリードを特定し、優先的にアプローチできます。HubSpotMarketoSATORIなど、様々なツールがあります。

・SFA

SalesforcekintoneなどのSFA(Sales Force Automation)ツールは、営業活動の進捗や顧客とのコミュニケーション・活動履歴や予実管理ができます。これにより、インサイドセールスとフィールドセールスの情報共有がスムーズになり、顧客対応の質が向上します。

・CRM

CRM(Customer Relationship Management)ツールは、顧客情報を一元管理することで、顧客との関係性を深め、対応の質を向上させることができます。また、MAツールやSFAツールと連携させることで、顧客の過去の購入履歴や問い合わせ内容、行動履歴なども把握でき、より見込み顧客に応じたアプローチができます。

3.6 人材確保、育成

インサイドセールスの体制を構築するには、活動を推進する実務担当者と、その動きを統括するマネージャーの両方が必要です。

社内異動による配置か、新規採用が一般的ですが、チームの役割や業務範囲を踏まえて、見極めると良いでしょう。

例えば、インサイドセールスの商談で、クロージングの手前まで深く顧客とコミュニケーションをとる場合は自社製品やサービスに精通した人材が良いため、新しく採用するよりも、営業部門の社員を異動させてチームを構成する方がスムーズに成果を出せる可能性があります。

また、インサイドセールスで求められるスキルは、単なる「営業力」だけではありません。「ヒアリング力」「ITツールの活用力」「複数のタスクを同時にこなすマルチタスク対応力」などが求められます。そのほかにも、データを分析して客観的に判断したり、他部署と円滑なコミュニケーションを取るスキルも必要になります。これらを踏まえて、適切な人材を確保、育成しましょう。

3.7 トークスクリプトとメールテンプレート作成

インサイドセールスの業務において、個人の能力に依存する「属人化」を避けるためには、トークスクリプトやメールテンプレートの作成が必要です。まずは仮説ベースで作成し、実際に運用しながら改善していくことをおすすめします。これにより、誰でも一定水準以上の品質で顧客対応ができるようになり、新人の早期立ち上がりにも貢献します。

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4. インサイドセールスの立ち上げで失敗しないポイント

4.1 スモールスタートで始める

最初から大規模な組織を目指すのではなく、少人数・限定されたターゲットからインサイドセールスを始め、成果を検証しながら徐々に拡大していく「スモールスタート」が推奨されます。これにより、リスクを抑えながら精度の高い運用体制を構築できます。

4.2 経営者/決裁者が立ち上げに携わる

インサイドセールスの立ち上げは、単なる営業手法の変更に留まらず、組織全体の変革を伴う場合があります。そのため、経営者や決裁者などトップ層が立ち上げに積極的に関与することはもちろんですが、その後の定着までしっかり関わることが必要です。

インサイドセールスは、マーケティング部署や営業部署の間に入って動くことが多いため、経営者/決裁者が指揮をとって推進することで部署間のコミュニケーションもし易くなります。

4.3 目的や業務範囲を明確にする

インサイドセールス立ち上げ時に、フィールドセールスとの認識のずれが発生することがあります。互いの部署が混乱しないよう、「どこからどこまでがインサイドセールスの責任範囲なのか」を明確に定義しておくことが重要です。これにより、業務の重複を防ぎ、各部門がそれぞれの役割に集中できます。

4.4 他部門との連携を丁寧に行う

インサイドセールスは、マーケティング部署からリードを受け取り、営業部署に商談を引き渡すという、部門間のハブとなる役割を担います。そのため、マーケティングや営業部門との情報共有、定期的な会議体の設置、そしてKPIの整備など、連携強化は成果に直結します。

4.5 PDCAサイクルを細かく回す

インサイドセールスは、導入して終わりではありません。PDCAサイクルを細かく回すことで、より効果的な運用体制を構築できます。

・架電内容のチェック

通話録音の確認を行い、実際の架電内容をレビューし、対応の質を向上させると良いでしょう。そこでの優れた事例や成功事例は共有し、チーム全体のスキルアップに繋げることができます。

トークスクリプトの改善

インサイドセールス担当者からのフィードバックを定期的に集約し、トークスクリプトを随時見直すことが重要です。また、商談に対応した営業部門からのフィードバック内容も定期的に反映させるなど、柔軟に更新しましょう。

ターゲットリストの見直し、選定

架電結果から顧客の属性を分析し、ターゲットリストを定期的に更新しましょう。アポイント取得率やその後の受注率などの数値も確認・結果を反映させることで、より質の高いターゲットリストが完成します。

4.6  運用マニュアルの作成

インサイドセールスの運用マニュアルを作成することは、対応のばらつきを防ぎ、品質を一定に保つために非常に重要です。すでに社内でインサイドセールスチームがある場合、優秀なアポイント取得実績を出している営業パーソンのトークを参考にすると良いでしょう。新入社員のオンボーディングや担当者の引き継ぎも効率的になります。

5. インサイドセールス立ち上げの成功事例

【導入事例:sincereed株式会社様】

・課題:

ハイクラス向け求人データベース「Resumee」の営業活動において、以下のような課題がありました。

  • インサイドセールスの外注コストが高い
  • PDCAのスピード・精度に課題がある
  • ターゲット特化ゆえのアプローチ難しい

・導入の決め手:

  • 柔軟かつコストを抑えた提案が魅力的だったため
  • スピード感を持った改善提案と密な連携が可能だったため

・導入後の効果:

  • ROASが200%以上に向上
  • 月間のアポイント数が目標の2倍に
  • 顧客からは「電話対応が丁寧」との高評価
  • スクリプト改善や商談同席など、伴走支援もご評価

詳しくは、以下の記事からご覧ください。

インサイドセールスの外注でROAS200%超え。アウトバウンド代行の裏側

6. まとめ

インサイドセールスの立ち上げは、マーケティングと営業をつなぐ、現代の営業組織の生産性向上に欠かせない取り組みです。本記事で紹介した「基本の7ステップ」を参考に、自社に最適な導入プロセスを描いてみてください。自社で立ち上げが難しい場合は、インサイドセールスを外注する、という手段もあります。

マーケティングコミットでは、インサイドセールスの代行サービスを行っていますので、ご興味がございましたらぜひ以下の資料をご覧ください。

▼マーケティングコミットのIS代行支援サービス
BDR(アウトバウンド)代行支援サービス資料
SDR(インバウンド)代行支援サービス資料
【ISリソース不足を解決】スポットIS代行サービス資料

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この記事の著者

吉田 博騎

吉田 博騎 代表取締役

大学在学中にバックパッカー(訪問カ国数55カ国)を経て、2020年にBtoBマーケティングコンサル&BPOの会社に入社。その後、コンサルティング担当&実行担当、年間70社以上を支援経験。また、入社1年目で新人歴代最高売上を達成し新人賞受賞、入社2年目で第3クオーターMVP・第4クオーターMVP ・年間MVP受賞/最速課長昇格など、数々の賞を受賞。その後、2023年に株式会社マーケティングコミットを設立。