
インサイドセールスとテレアポの違いとは?BtoB営業で成果を出すポイントを解説
本記事では、営業効率の改善を目指すBtoB企業の営業担当者・責任者の皆様へ、インサイドセールスとテレアポの違い、それぞれの強み、そしてBtoB営業で成果を出すポイントを解説します。自社に適したインサイドセールスとテレアポ組織の体制構築方法や運用のポイントまで、詳しくお伝えします。
1. インサイドセールスとテレアポ、基本をおさらい
インサイドセールスとテレアポは、どちらも電話を活用した営業活動という点で共通していますが、その目的や役割には大きな違いがあります。それぞれの基本を理解し、自社に最適な営業戦略を見つけましょう。
1.1 インサイドセールスとは?BtoBにおける目的と役割
インサイドセールスは、顧客と直接対面することなく、電話やメール、Web会議システムなどを使って営業活動を行う手法です。リード育成を重視し、顧客の課題やニーズを深く理解することで、質の高い商談をフィールドセールス(外勤営業)に引き渡すことを主な目的としています。
また、インサイドセールスは、マーケティング活動によって接点を持った見込み顧客や営業リストに対して中長期的にアプローチを行い、企業課題に応じて適切な情報提供や提案を行います。これにより、顧客の購買意欲を高め、商談へと繋げることができます。
特に、検討期間が長くなる傾向にあるBtoBビジネスにおいて、その重要性が増しています。
1.2 テレアポ(テレフォンアポイントメント)とは?目的と役割
テレアポ(テレフォンアポイントメント)とは、電話で見込み顧客にアプローチし、商談の約束を取ることを指します。
テレアポの主な目的は、新規顧客開拓におけるリードの発掘と、そのリードと営業担当者との接点を作ることです。一般的な対面営業と違い、移動時間が発生しないため、一日に多くの顧客に効率的にアプローチすることが可能になります。これにより、短時間で多くの企業に接触し、アポイント獲得数の最大化が期待できるでしょう。
2. 【徹底比較】インサイドセールスとテレアポの5つの違い
インサイドセールスとテレアポは、それぞれ異なる目的と手法を持つため、その違いを理解することが効果的な営業戦略を構築する上で不可欠です。
ここでは、主な違いを5つの観点から詳細に比較します。
表:インサイドセールス vs テレアポ 主要5項目比較一覧
比較項目 | インサイドセールス | テレアポ |
目的 | 見込み顧客の育成(リードナーチャリング)、関係構築、質の高い商談創出、受注貢献 | アポイント獲得、新規顧客への初期接触 |
主な手法 | 電話、メール、Web会議、SNS、ウェビナーなど多岐にわたるチャネルでの継続的コミュニケーション | 主に電話による一方向的なアプローチ |
主要KPI | 有効商談数・率、商談化数・率、受注数・率、受注金額、顧客エンゲージメントレベル | 架電数、接続数、アポイント獲得数・率 |
関連部門 | マーケティング部門、フィールドセールス部門との緊密な連携が不可欠 | 比較的独立して活動、営業担当者へのアポイント供給が主な連携 |
活動の時間軸 | 中長期的(リード育成から受注まで数ヶ月〜1年以上かかることも) | 短期的(数日〜数週間単位でのアポイント獲得目標) |
2.1 目的の違い:リードの「質」の追求 / アポイント獲得の「量」
インサイドセールスとテレアポは、それぞれ異なる目的で活動しています。
インサイドセールスの主な目的は、見込み顧客と中長期的な関係性を構築することです。 顧客の課題やニーズをヒアリングし、適切な情報提供を通じて育成(リードナーチャリング)をすることで、関係構築を行い、購買意欲を高めます。
受注確度の高い見込み顧客を見極めた上で商談獲得を行うため、商談数は少なくても受注率が高くなる傾向があります。
一方、テレアポの目的は、シンプルに「アポイントの獲得」です。
全ての見込み顧客に初回接点で商談打診を行い、アポイント獲得数の最大化を目指します。
2.2 手法の違い:多角的アプローチと継続的コミュニケーション / 電話中心の単発接点
インサイドセールスとテレアポでは、顧客へのアプローチ方法に大きな違いがあります。
インサイドセールスは、電話だけでなく、メール、Web会議システム、SNS、ウェビナーなど、多様なチャネルを組み合わせてアプローチをします。 これは、主要人物に繋がりやすくするためや、顧客ごとに利用するコンテンツが異なるためです。
例えば、電話では受付でブロックされてしまい、なかなか担当者に繋がらない場合でも、メールやSNSを活用することで担当者にアプローチできる可能性があります。
また、インサイドセールスは一度の接触で終わるのではなく、顧客の状況やニーズに合わせて電話で情報を伝えたり、SNSを通じてコミュニケーションを取ったりと、継続的に情報提供やヒアリングを繰り返しながら関係性を深めていく、戦略的なコミュニケーションが特徴的です。
一方、テレアポは、名前の通り電話が主なコミュニケーション手段です。 基本的に単発での接触が多く、短い時間でサービスの概要を説明し、商談のアポイントを獲得します。
スクリプトに沿って効率的に架電を行い、次々に新しい顧客にアプローチしていくスタイルが主流のため、インサイドセールスのように中長期的にコミュニケーションを取る、といった顧客育成は行いません。
2.3 KPI・評価指標の違い:「受注貢献と有効商談化」 / 「アポ数と架電数」
インサイドセールスとテレアポでは、活動の目的が違うことから、KPI(重要業績評価指標)や評価指標が異なるケースが多いです。
インサイドセールスの主なKPIは、単なるアポイント数ではなく「商談の質」や「最終的な受注への貢献度」に重きを置きます。
具体的には、商談化数や有効商談数、さらには獲得した商談がどれだけ受注に貢献したかを示す受注数や受注率などが挙げられます。架電率やメール開封率をKPIとすることもありますが、これはあくまで質の高い商談へ繋げるための一要素になります。
対して、テレアポのKPIは「量」を測る指標が中心です。
主な評価指標は、アポイント獲得数であり、その達成に向けた架電数や、担当者に繋がった回数なども重要視されます。
そのほか、平均架電単価や平均通話時間、稼働率なども指標となる場合がありますが、テレアポは量的な側面が強く評価される傾向にあります。
2.4 連携部門の違い:マーケ・営業との三位一体 / 独立したアポイント供給機能
インサイドセールスとテレアポでは、他部門との連携に大きな違いがあります。
インサイドセールスは、マーケティング部門とフィールドセールス部門と緊密に連携する「三位一体」の戦略的役割を担います。 マーケティングが獲得したリードを受け取り、育成した上でフィールドセールスに質の高い商談を引き渡します。受注に至らない見込み顧客はフィールドセールスからインサイドセールスに戻して再び育成し直すなど、継続的な連携を通じて最終的な受注を目指します。
一方、テレアポはアポイント供給に特化した独立した組織です。 獲得したアポイントをフィールドセールスに引き渡すことが主な役割であり、それ以上の関わりはありません。
顧客フォローを行わないため、フィールドセールスから見込み客が戻されることもありません。
2.5 求められるスキルの違い:課題解決型のヒアリング・提案力 / スクリプト実行力
インサイドセールスとテレアポでは、それぞれの役割に応じた異なるスキルが求められます。
種別 | 必要なスキル |
インサイドセールス | ・ヒアリング力・提案力・コミュニケーション能力・深い商品知識・問題解決応力・各種ツールを使用するための管理や分析スキル |
テレアポ | ・電話応対のスキル・スクリプトの正確な実行力・基本的な商品知識・精神的な強さ(ねばり強さ) |
インサイドセールス担当者には、顧客の課題や需要を引き出すための「高度なヒアリング力」と、その課題に対する最適なソリューションを提示する「提案力」が不可欠です。 そのためには、深い商品知識、優れたコミュニケーション能力、そして問題解決能力が求められます。また、CRMツールを活用して、顧客情報を管理したり分析をするスキルも重要となるでしょう。顧客の状況に応じて柔軟に対応し、信頼関係を構築する能力も求められます。
一方、テレアポ担当者に重視されるのは「スクリプトの正確な実行力」と「精神的な強さ」です。 基本的な電話応対スキルに加え、用意されたスクリプトを自然に話し、短時間で効率的にアポイントを獲得する能力が求められます。断られることが多いため、それに挫けずに架電し続ける粘り強さが成功の鍵となります。また、アポイント獲得に必要な最低限の商品知識も必要です。
3. どちらが自社に向いてる?インサイドセールスとテレアポの適性
インサイドセールスとテレアポはそれぞれ異なる目的・戦略上の強みを持つため、自社の商材や営業戦略によってどちらがより効果的かを見極める必要があります。ここでは、それぞれの手法がBtoBで有効なケースについて解説します。
3.1 インサイドセールスが有効なBtoBのケースとは?(高額商材・複雑なサービス・長期検討など
BtoBビジネスにおいて、顧客との中長期的な関係構築や丁寧な顧客教育が必要な場合にインサイドセールスは非常に有効な手段となります。
例えば、以下のような場合はインサイドセールスが有効です。
- 高額な商材や複雑なソリューションを提供している場合
高額なBtoB製品や、ソフトウェア製品のような複雑なソリューション、自社製品を顧客に合わせてカスタマイズが必要なサービスは、導入までに多くの情報収集が必要です。インサイドセールスによる丁寧なヒアリングと説明は、顧客の疑問や不安を解消し、製品・サービスの価値を深く理解してもらうために不可欠です。
- 長期的な検討期間が必要な場合
顧客が意思決定に時間をかける傾向がある場合や、年単位などの長期契約を必要とするサービスでは、インサイドセールスによる継続的なコミュニケーションが有効です。
- 複数の意思決定者が関わる場合
BtoBの購買プロセスでは、複数の部署や役職者が意思決定に関わるため、最終決定まで時間が長期となる傾向があります。インサイドセールスは、それぞれの意思決定者の立場を理解し、その人にあった情報提供を行うことで、社内決裁の進行をサポートします。
3.2 テレアポがBtoBで機能するシーン
BtoBビジネスにおいても、テレアポが有効に機能する場面もあります。インサイドセールスとは異なる強みを持つテレアポは、迅速なアプローチや広範囲な顧客開拓に適しているからです。
テレアポがBtoBで効果を発揮する主なケースは、以下の通りです。
- 新規開拓を一気に進めたい場合
自社の認知度が低い市場や、これまでアプローチできていなかったターゲット層に対してのテレアポは有効です。短時間で多くの企業に架電することで、短期間で一気に商談獲得ができます。アポに繋がらなかった場合でも顧客の会社やメールアドレスなどの個人情報を得ることで、新規リードの獲得にもつながります。
- 比較的シンプルで理解しやすい商材の場合
直感的に理解できる製品や、サービス単価が低く迅速な購入決定が可能な製品(例:消耗品の補充、数万円のITツール導入など)は、電話での説明だけでも十分に興味を喚起し、アポイントに繋げやすい傾向があります。
- イベント集客の初期アプローチ
展示会やウェビナーなどのイベントへの集客において、ターゲット企業への初期アプローチとしてテレアポは有効です。電話でイベントの概要を伝え、参加意向を確認することで、効率的に参加者を募ることができます。
- 市場調査の一環として
特定の業界や顧客層のニーズ、課題に関する簡易的な情報収集や、関心度の確認を行うためにテレアポが活用されることもあります。
4. BtoBで「成果に繋がる」インサイドセールスのポイント
BtoB営業においてインサイドセールスを成功させ、成果に繋げるためには、単にツールを導入するだけでなく、人材育成や部門間の連携、そして戦略的な運用が不可欠です。
ここでは、インサイドセールスで成果を出すための重要なポイントを解説します。
4.1 顧客の課題解決に貢献する高度なコミュニケーションスキルを持つ人材の育成と適切なテクノロジー活用
インサイドセールスで成果を出すためには、顧客の課題を深く理解して解決策を提示できる、高度なコミュニケーションスキルを持つ人材が必要です。単に製品を説明するだけでなく、顧客の悩み、感じていることや、潜在的なニーズを引き出すヒアリング力と、最適な解決策を提案する能力を身につける必要があります。
また、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客関係管理システム)などのテクノロジーを効果的に活用することも重要です。これらのツールを導入することで、顧客情報やこれまでの接触履歴、購買意欲などを一元管理し、可視化できます。ITツールを導入し活用することで、より効率的な営業活動が可能になります。
4.2 マーケティング部門・営業部門とのシームレスな情報連携と協業体制の構築
インサイドセールスの成功には、各部署との連携が必要不可欠です。
マーケティングチーム、インサイドセールス、フィールドセールス間で目標を互いに共有し合い、情報連携を漏れなく行う協業体制を構築することが求められます。
また、リードや企業情報の共有は一方通行ではありません。例えば、フィールドセールスで商談が進まなかった見込み客はインサイドセールスに戻され、再度インサイドセールス側での育成が行われます。
このように、部門間で顧客情報や進捗状況をリアルタイムで共有し、密に連携することで、顧客の購買プロセス全体を見て最終的な受注へと繋げます。
4.3 【注意】インサイドセールスが「テレアポ部隊化」しないために注意する
インサイドセールスを導入した企業で陥りがちなのが、実態がテレアポと変わらない「テレアポ部隊化」という問題です。本来のリード育成や顧客との関係構築ではなく、アポイント獲得に特化した状況になることを指します。
ここでは、テレアポ部隊化を防ぐために、原因と意識すべきポイントについて説明します。
No. | テレアポ部隊化の原因 | |
1 | KPI設定のミス | アポイント獲得数のみを成果指標とすると、担当者は育成よりもアポイント獲得を優先してしまいます。 |
2 | スキル不足 | 顧客の課題を引き出すヒアリングができず、質の低い商談を量産してしまうことがあります。 |
これらを避けるためも、以下の点を意識すると良いでしょう。
No. | 意識すべきポイント | |
1 | 戦略の明確化と共有 | インサイドセールスの目的が「受注確度の高い見込み客の育成と引き渡し」であることをインサイドセールスチームはもちろん、マーケティングやフィールドセールスチームへも共有します。 |
2 | 適切な評価制度の構築 | アポイント数だけでなく、有効商談数や受注貢献度など「質」を重視したKPIを設定します。 |
3 | 継続的な育成 | 顧客の課題解決に貢献する高度なコミュニケーションスキルを身につけるための研修やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を強化します。 |
4 | 成果の共有 | 育成による成果(顧客の声など)を積極的に共有し、他部署からのフィードバックを定期的にもらうようにします。 |
5. 自社事例:月間アポ数が3倍に。インサイドセールス内製化支援の裏側【マジセミ株式会社様/導入事例】
ウェビナーを活用し、BtoB企業の新規顧客獲得・商談創出を支援する株式会社マジセミ様は、新規受注とリード獲得に課題を抱えていました。この課題解決のため、インサイドセールスの内製化と強化を決断。マーケティングコミットがその支援を行い、戦略的なアプローチを通じてインサイドセールスチームを再構築し、大幅な成果達成に貢献しました。本事例では、組織体制を整え、テレアポ部隊ではなく、真のインサイドセールスチームとして戦略的なアプローチを図り成果を上げたプロセスをご紹介します。
【導入前の課題】
- 新規受注とリード獲得に課題を抱えており、インサイドセールス体制の強化が急務であった
【支援内容の概要】
- インサイドセールスチームの基本的なスキル強化のためのトレーニング
- ターゲット顧客の精緻化の支援とCRM(顧客関係管理)やリードステータス管理の再設計
- 営業資料の改善
- 部門間の連携強化のためのコミュニケーション促進
【成果】
- 月間アポイント数が約30件から90~100件へと安定的に増加
- インサイドセールスチームのメンバーが2~3名から8名へと拡大
関連記事:月間アポ数が3倍に。インサイドセールス内製化支援の裏側【マジセミ株式会社様/導入事例】
6. まとめ:インサイドセールスとテレアポの違いを正しく理解し、自社に最適な営業戦略を描こう
本記事では、インサイドセールスとテレアポの明確な違いと、それぞれのBtoB営業における有効な活用シーンを解説しました。似ているようで、目的、手法、KPI、連携部門、求められるスキルが異なります。
自社の商材特性や営業戦略に合わせて、どちらを手法で営業を進めるのか、あるいはどのように両者を連携させるべきか、見えてくるでしょう。
そして、こうした効率的な営業体制を構築し、BtoB企業のさらなる成長を後押しするためには「成果コミット型」のインサイドセールス支援が非常に有効です。
▼マーケティングコミットのIS代行支援サービス
BDR(アウトバウンド)代行支援サービス資料
SDR(インバウンド)代行支援サービス資料
【ISリソース不足を解決】スポットIS代行サービス資料
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